- 2018/09/10
- 〔第17回〕PCBってなに?
最近、電気の業界を中心にPCBが話題になっております。今日は、このPCBについてお話しします。
PCB(ピーシービー)とは何でしょう。
正式名称を『ポリ塩化ビフェニル』と言い、熱に対して安定で、電気の絶縁性が高く不燃性であるため良質の絶縁油として変圧器やコンデンサ等に利用されてきました。海外では昭和6年(1931年)から、国内では昭和28年(1953年)から使用が始まりました。その後、昭和43年(1968年)カネミ油症事件など社会的な問題が発生したことにより、このPCBが人体に悪影響を与えることが判明し、昭和50年(1975年)に製造及び輸入が禁止されました。
しかしながら、以前に作られたものの対策はとられておらず、2000年頃から、世界でPCBを含む電機、電気製品、特に老朽化した蛍光灯安定器のコンデンサからPCBを含む絶縁油が漏れる事故が相次ぎ、問題となりました。
そこで、国際社会では、2028年までにPCBの全廃をする条約が締結されております。
日本でも、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」が制定され、処分が推進されてきたところですが、なかなか進んでいません。そのため、法律の改正が実施されました。
今日におけるPCB処理の概要は次のとおりです。
まず、PCB廃棄物の分類ですが、含有濃度に応じて、高濃度PCB(5,000ppm超)と低濃度PCB(5,000ppm以下0.5ppm超)で、0.5ppm以下は、PCB廃棄物に該当しないとされております。ちなみに、1ppmとは、概念的に家庭のお風呂(約1〔m〕 × 1〔m〕 ×1〔m〕)の水に角砂糖(1〔cm〕 × 1〔cm〕 × 1〔cm〕)1個を溶かした濃度ということになります。
高濃度PCBに該当するかどうかは、変圧器、コンデンサ等の銘板に書かれた装置の型式、製造年月などから、経済産業省から提示された判定表により判定します。もし、該当する場合は役所に報告するとともに、期限内に処分(関東地方は、平成34年3月末まで)する必要があります。処分はJESCOが担当します。
低濃度PCBに該当するかどうかは、少し厄介です。各メーカーで、製造年月により混入の可能性があるかどうかを公表しています。混入の可能性があるものについては、基本的にオイル分析を実施して確認することになります。分析方法や、処分事業者については、監督官庁の認可があります。
停電をさせて、使用中の機器からオイル採取をして、分析機関で分析をすることとなります。低濃度PCBに該当する場合、オイルサンプルに使用したスポイト等を含め、適正に処理する必要があります。処分期間は平成39年(2027年)3月末です。